完熟梅ジャムをつくるにあたっての実験
どうも、おはこんばんにちは、ぽんぽこりんです(@ponpokorin_24)。
実験材料 |
この記事では、梅ジャムを作る時に行った実験と、その結果についてまとめ、分かったことも記しておこうと思います。もしかしたら梅以外のジャムを作る際の参考になるかもしれないので、興味のある方はまとめだけでも読んでみてください。
しかし、自分で書くのもなんですが、きちんと計画された実験ではないので、至らない点はあちこちにあると思います、ご了承ください… m(_ _)m
目次
ジャム作りのポイント
素人ながらにいろいろ調べてみたところ、ジャムを作る際に大切なことは、以下の三点だと考えています。
- 煮る前に果実から水分を引き出すこと
- きちんとゲル化させること
- 色よく仕上げること
煮る前にある程度べちゃっとさせていないと、焦げ付きやすくなるほか、煮るというより焼いていることになりかねません。そこで、砂糖を振って数時間から半日ほど置いておいたりするのですが、まれに「最初に砂糖を大量に入れると浸透圧の影響で皮や果肉が硬くなる」的なことが書いてある場合があります。個人的には最初に入れようが、分割して入れようが、最終的な濃度は同じになるので、本当に浸透圧?と思っています(果皮が破ける前に大量の砂糖はNGとかそういうことなのかも。よくワカラヌ)。
ゲル化には果実に含まれるペクチン、酸(足りない場合はレモン汁などで補う)、そして55%以上の糖度が必要になるらしいです。
このうち、ペクチンは90℃から100℃になると果実から離れて水(果汁)に溶けだし始めるらしい(どこかで見かけたのですが、忘れちゃいました)ため(精製されたペクチン単体は常温の水にも溶ける)、果実を加熱する必要があります。
しかしその一方で、長時間の加熱をすると、ペクチンが壊れてゲル化しなくなる(ちょっと怪しい情報)、フレッシュな風味がなくなる、砂糖が焦げてカラメル色がつく、と言われています。
そこで、今回の実験(もどき)では、
①はじめに砂糖を振る量が変わると硬さが変わるのか
②砂糖の焦げによって色が変わるのか
③煮る時間が長くなると、本当に風味が変わるのか
④ペクチンが溶け出すまでどれくらいかかるのか
について検証してみました。
実験と結果
実験1
まずABCの3パターンのジャムをつくり評価、その後に反省をふまえてDEもつくり、I~IVについて考察した。どのパターンでも砂糖は梅果肉と同量のグラニュー糖を用いた。
A
水だし方法:
種を取った果肉に、先に全量の砂糖をかけて半日待った。
加熱方法:
まずは弱火で砂糖を溶かし、あらかた溶けたら中火に。底から泡が出て来るようになったら(沸騰)弱火に戻し、蓋をして1分煮た。果肉は崩さないようにした。
B
水だし方法:
種を取った果肉に、先に半量の砂糖をかけて半日待った。
加熱方法:
まずAと同じように加熱した。残る半量の砂糖は加熱後に入れ、溶けにくかったため、弱火で1分ほど追加加熱し、砂糖が全て溶け切ったところで火を止めた。こちらも果肉を崩さないままにした。
C
水だし方法:
1分蒸した。種は蒸した後に取り除いた。この時点で砂糖は一切加えなかった。
加熱方法:
中火であたため、底からぷつっと泡が出てきたら火を止め、砂糖全量を入れ、全て溶けたところで終了。こちらは蒸した時点で果肉が崩れたので、果肉は形が残らなかった。
結果1
ABCを作り終わって、冷めるまで待ったところ、ABC全てにおいて粘度が足りず、沸騰後1分の加熱ではペクチンを十分に抽出できないことが分かった。ただ、再加熱してペクチンを抽出する前に家族にブラインドテストしてもらった。
家族1「ABCどれも同じ」
家族2「Bが一番おいしい。次点でA。Cは甘すぎる」
家族3「Bが一番おいしい。Cがもっともジャムっぽい(おそらく果肉が溶け込んでいるため)」
バイアスありですが一応
自分「味に関してはABはさっぱり、Cが最もフルーティ。果肉を残したABを比較すると、Bの方が柔らかい」
この感想を記録した後に、それぞれもう一度沸騰(底からぽこっと泡がでる)するまで中火で加熱し、そこからは弱火に落として、10分間加熱した。
結果1-2
再加熱後は冷めるときちんとゲル化し、色は以下の写真の通りABは同じCが少し濃いめとなった。これはおそらくCのみ果肉を崩したため。
ヨーグルトの上で比較 |
再びブラインドテストをお願いした。残念ながら家族1と家族3からは協力を得られなかったが、代わりに家族4に協力してもらえた。
家族2「Aが一番おいしい、Bは雑味的なものを感じる(先ほど甘かったのが気に入らなかったらしくCは口にしてくれませんでした)」
家族4「Cが最もまろやかでおいしい」
自分「ABの皮の硬さは変わらない、果肉はBの方が柔らかい、ABは少し酸味を強く感じる。Cが一番フルーティ。」
以上のブラインドテストから、
果肉をつぶすと甘い風味となり、果肉を残すとややさっぱりとした風味になると分かった。砂糖を先にかける場合、その量が全量でも半量でもそこまで食感に影響を及ぼさないと分かった(自分一人が探ろうとして初めて違いがあるように感じる程度。自分自身は製法を知っているのでバイアスもかかっている)。
反省
煮る時間1分は、ペクチン抽出には短すぎた。
実験2
上の反省を生かし、5分以上は煮ることにした。
Bでは全量の砂糖を加えてから、ペクチンを抽出するために再び沸騰を伴う過熱を10分することとなったので、Dでは沸騰を伴う加熱を半量の砂糖が溶けているとき一回のみにして、Bよりも変色が抑えられるのかを見た。本当に砂糖が焦げていくのであれば、砂糖を加えてから沸騰を伴って10分煮たBの方が深い色合いとなると考えた。
D
水だし方法:
種を取った果肉に、先に半量の砂糖をかけて半日待った。
加熱方法:
まずは弱火で砂糖を溶かし、あらかた溶けたら中火に。底から泡が出て来るようになったら(沸騰)弱火に戻し(ここまでAやBと同じ)、10分加熱したら火を止め、残りの砂糖を入れて、再び中火であたためながら溶かし、ふつふつと小さい泡が鍋底から出てきたところで火を止めた。
結果2
BとDに色の違いはなかった。
つまりは、少なくとも弱火で煮ていく分には砂糖が焦げているという事にはならないと考えられる。Wikipediaの「キャラメル化」の項をみても、載っている糖のうち、最も焦げる温度が低い果糖ですら、キャラメル化の温度は110℃であり、糖度が65度の場合でも沸点は104℃なので、「一気に砂糖を入れて、溶けないうちに強火で熱する」というようなことをしない限りは砂糖の焦げによる変色はないと考えられる。(水があるうちは焦げないのは当たり前と言えば当たり前)
実験3
結果2を踏まえて、Eでは先に砂糖を入れて(後入れでも良かったのですが)、さらにペクチンを抽出する時間と加熱時間の長さによる風味の飛散についても知るために加熱時間を5分と短くしてみた。
E
水だし方法:
種を取った果肉を、600Wに設定した電子レンジで、1分ほどラップありで加熱した。
加熱方法:
鍋での加熱前に全量の砂糖を混ぜ込み、鍋に入れたら中火であたため、底から小さな泡が出てきたところで弱火に落とし、蓋をしないまま、へらでまぜつつ5分煮た。
結果3
加熱時間が5分のEも十分にゲル化が確認できた。
また、今まで作ってきた10分煮たものと比べて特段香りが良いということもなかった。このことから、沸騰後5分の加熱でペクチンは十分に抽出できるが、10分から5分に煮る時間を短縮したからと言って風味がよくなるわけではない、と分かった。ちなみに、最初から砂糖を入れてもやっぱり同じような色なので、やはり、先に砂糖を入れたから焦げて色が濃くなるということはなさそう。
分かったこと(まとめ)
最初に挙げた以下四つ
①はじめに砂糖を振る量が変わると硬さが変わるのか
②砂糖の焦げによって色が変わるのか
③煮る時間が長くなると、本当に風味が変わるのか
④ペクチンが溶け出すまでどれくらいかかるのか
それぞれについての僕なりの結論を書きます。
①はじめに砂糖を振る量が変わると硬さが変わるのか
少なくとも梅については変わりません。
②砂糖の焦げによって色が変わるのか
いいえ。おそらく茶色っぽくなるのはポリフェノールの影響ではないかと考えています。企業は真空釜で煮るというのは、風味を保つためだけではなく、ポリフェノールの酸化を防いでいるのかもしれません。
参考の動画:
6:16~6:45のあたり参照
③煮る時間が長くなると、本当に風味が変わるのか
少なくとも5分を10分にしたところで変わりません。20分30分と煮ていくと変わるかもしれません(実験していません)。
④ペクチンが溶け出すまでどれくらいかかるのか
梅の場合は5分で十分溶け出ます。
要は、水の引き出し方はなんでもよく(とにかく煮やすくなればなんでもOK)、砂糖を入れるタイミングもいつでもよく、加熱時間にも神経質にならず、5~10分くらい加熱すれば大丈夫ということに。
極端にいうと、種取る、梅を柔らかくする、同量の砂糖を用意して一緒に5~10分煮込むだけでいいってコトになります。他の果実でも、酸が足りない場合はレモン汁などで補うという事以外基本的には同じだと思います(作ってみたら記事書きます)。まぁ、みかんなどは加熱すると香りが変わりやすいらしいですが。
そういったことが分かった上でベストなやり方、というと、簡単で、焦らなくていいレシピこそが至高。
というわけで、こちらのレシピの記事では最初に砂糖を溶かし込むということにしました。熱い状態だと砂糖が焦げたりしますし。煮る時間を5分にしたのは短い方が手軽だからと、もしかしたら短い方がフレッシュな香りが多く残っているかもという願望がちょっと。果肉は潰した方がフルーティになりますし、煮るときにも丁寧に混ぜなくて良いため手軽です。
また、そもそも実験では触れてはいませんでしたが、最初から十分な量の砂糖を使えば「煮詰める」という糖度をあげるための作業は不要で、ペクチンさえ煮出せればそこで作業終了です。そのため僕のレシピでは弱火になっています。強火で焦りながら調理するよりいいと思いませんか?
以上になります。わざわざ読んで頂き、ありがとうございました。
それでは~
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